ちゅらしっくわーるど

ことりの話し・日々の気づきを宙ららの世界観で綴ります

お祭りとコタツと鳥のヒナ

〜*宙ららの世界観の物語りです。あしからず*

私が12〜13才の頃の、あるお祭りでの不思議な話しです。
当時、お祭りの屋台で小さなウリ模様の鳥のヒナが売っていました。
今にして思えば「うずらのヒナ」だと思います。
毎年お祭りの度に『かいたい』と懇願するも『生き物は駄目』と言われ、屋台の前で物欲しげに眺めて終わりでした。

学校で友達数人と夜祭りに行く約束をした時に、誰からともなく『今年こそ鳥のヒナを買いたいね!』『買うんだ!』『親を説得しよう』という事になりました。誰か1人が『買ってもいい』となると『誰々の家では買ってもいいと言われた』作戦で次々に各々の親から承諾を得る事に成功し、私達は『みんなで飼育の様子を報告し合って大切に育てよう』と誓いました。

鳥のヒナはオス、メスと区別されていて、当時オスは350円くらいで、メスの方が幾らか高かった事を覚えています。妹からもオスを1羽買ってきて欲しいと頼まれて私は念願のヒナを2羽買いました。ヒナは焼きそばやフランクフルトを入れるようなヤワなプラスチックの容器に入れられてホチキスで止め、ビニールの手さげ袋に入れて渡されました。人混みを潰れないように気を付けながらも、嬉しくて時々のぞき見ていたのを覚えています。

当時、お祭りの頃は今よりずっと寒く、吐く息は白く、厚手のジャンバーとマフラーに手袋をしてもまだ寒いくらいでした。私は門限を守るために夜道を自転車で飛ばしていましたが、ヒナは大切に自転車の前カゴに入れ、自分のマフラーで包み暖かく保護して帰りました。

帰宅すると、居間は薄暗くひと気はありませんでした。部屋を明るくしてヒナを見ると…プラスチックの容器の中で目を閉じ、自らは動かずコロコロと転がるだけで硬く冷たくなっていました。私は咄嗟に『寒くて◯んでしまった』と思いました。『これでは妹に泣かれてしまう。どうしよう。何て言おう?』と、ヒナと妹の事を考えると自分も泣きたい気持ちになりましたが『恒温動物と変温動物』『冬眠』『凍えると眠くなる』などの知識からフト『こたつで温めよう』と思いました。

温度を最強にしたこたつの中に潜り込み、手のひらにヒナをのせてコタツの暖かい部分に掲げる様に近づけて『助かれ、生きかえれ』と必死になって祈りました。

すると、数分後…
手のひらから『ぴよ、ぴよ…』と小さく声が漏れ聞こえ、1羽のヒナが手からピョコンと飛び降りてこたつの中を駆け回り、もう1羽のヒナも同じ様に元気に駆け回りだしたのです。その真っ赤なコタツの中での暖かな奇跡のような歓びは忘れられない思い出です。

寒くて仮◯状態だったのかも知れませんが、妹を泣かせずに済みました。ヒナが◯んでしまっては立替えていたお金はもらえません。ヒナのお金をどうしたかは覚えておりませんが、無事返してもらえたと思います(笑)